第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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私は、画面の上に打ち込んだ短い言葉を忌々しげに消すと、 自然とこぼれ出てきた溜息を肩でついた。 とにかく今は、こんな事を考えるのは止めよう。 さもないと、本当に、その当日を迎えるまでは 仕事が手に付かなくなってしまいそうだ。 私は、この日、まだ一行も訳していない原書とパソコンの前を離れると、 キッチンへと向かった。 イライラは、お肌の大敵!  紫外線たっぷりの、この季節。 こんな気分の時こそ、あの爽やかさがなくっちゃ。 自分でも、ちょっと何をこじつけているのかよく解らないまま、 私は、冷蔵庫の中からレモン一つとグレープフルーツジュースを取り出した。
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