第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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私はグラスを傾け、ジュースを少し口に含んだ。 濃い柑橘類の酸味とハチミツのとろみが、尖った神経をやんわりと包み込む。 だがこのジュースの飲み頃は、まだ先。 グラス八分目ほどの濃厚なジュースが、 溶けた氷でちょうど一杯になる頃まで、しばし待て。 私は、冷たいグラスを片手に少しだけ気分を入れ替え、 仕事部屋に戻って行った。 デスクに戻ると、すぐ昨日の続きをパソコンの画面に呼び出し、 栞を挟んであった原書をパソコン脇のブックホルダーに広げた。 しかし視線は、自然と目の前の窓の向こうに広がる緑へと向いていく。 そして、ちょっとぼんやりと考える。
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