第4章  デジャヴの贈り物(続き)

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人にしても、仕事にしても、 縁は、何か潮流のようなものを持っているものだなと。 実は、この翻訳という仕事も、 当初は、高校時代の友人から 偶然、転がり込んだアルバイト話のようなものだった。 しかし、その頃は副職を禁じられた立場だったし、 何よりも、疲労している心身に、それ以上の労力は求められなかった。 だから私は、あっさりと断った。 しかし、その時の友人は余程に切羽詰っていたようだ。 締め切りは近いが、翻訳家が急病で頼める人材が見つからないと 半泣きで頼まれ、結局、断りきれなくなってしまった。 だが、その小さなきっかけが、振り返れば現在への流れとなったのだ。 そして今、こうして私はジュースを傍らに、 原書とパソコン相手に仕事をしている。
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