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いけない。
本の登場人物に八つ当たりをしても、何の解決も望めるわけがない。
私は、小さく肩で息をつき、
もう一口、ジュースを含もうとグラスを口元に運んだ。
ところが、その時、不意にデスクの上の携帯電話が鳴り始めた。
そして、液晶画面の上には「田村 泰彦」の文字が並ぶ。
しかし、夏はどうしても起きるのが早くなるため、今は、まだ朝の八時過ぎ。
もちろん週末でもないから、彼は、まさに出勤途中なはず。
そんな事を瞬時に頭に巡らせ、首を傾げながら電話に出る。
ところが、
「あっ、美沙ちゃん?」
少しざわつく背景の中での彼の声は、ひどく焦っていた。
しかも、
「あのさ、来週の予定は?」
おはよう、の挨拶もなしの唐突な質問。
当然、私の中には「?」が大きく浮かんでくる。
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