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「なかなか楽しませてもらったけど、どうするかと思ってここのところ放置してたら何もしないんだもの」
「こっちが痺れを切らしました」
「あのな…」
呆れる声が耳元で聞こえる。
後ろから抱きしめられるのはまぁ別にいいとして、なんで今するのかな。
「策にハマったことはムカつくけど、出会わせてもらったことには感謝する」
「そうでしょうとも」
なんで弓愛が威張るのかわからない。
「だから、今日はもう帰れ」
若干?イヤ、かなり真殿さんの機嫌は悪いようです。
それにはさすがに2人も気づいて、引きつった笑みを浮かべながら立ち上がった。
「仕方ないですね、今日のところは帰ります」
怖いなら怖いって、素直に言えばいいのに。
そして、そそくさと帰って行った。
と言っても隣だけど。
「――っはぁ……」
後ろから抱きしめられたままだけど、肩に顔を埋めてるのがわかる。
「どう転んでも振り回されちゃうんですね」
小さく笑っていると、離れた真殿さんはフラフラとソファーに座り込む。
そんなに消耗したのかな?
思って近寄ると、なんの前触れもなくまた抱き寄せられて。
「…ほんっと癪だけど、感謝…だよな」
「そですね」
「この先ずっと振り回される運命なのか~」
「慣れるしかないですよ」
「桜花も、この先ずっと一緒にいてくれるんだよな?」
「…そうですね、一緒にいましょう」
いつか、ホントのことを話してあげる。
ずっと前から、お店の前を通るあなたが気になっていたこと。
だから、今はすごくうれしいんだ。
どんな形であれ、あたしの側にいてくれて…
ありがとう……
この先もずっと、感謝、だよ。
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