simulation.2

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仕事でもこんな時間から出ることはない。 これでくだらない用件だったりしたら、恨むぞ倉松。 マンションを出て、徒歩約10分。 目的地は一軒家。 ただ、こんな早い時間に呼び鈴を鳴らすのは気が引ける。 なんで実家暮らしなんだよ。 心の中で悪態をつきつつ、倉松を呼び出す。 「ついたけど」 『わかりました』 ホント俺、何やってんだろう。 自問自答しても、何も答えなんか出やしない。 「おはようございます、ささ、どうぞ」 「ちゃんと説明しろよ、朝早くから呼び出した理由を」 「それはもちろん、部屋に行ってから話します」 何やら楽しそうで、それを見る限りイイコトではなさそう。 「リヒトが朝から起きてるなんて、今日槍でも降る?」 階段を上がっていたら聞こえた声。 「あ、おはようございます。こんな時間にお邪魔してすみません」 「え?常識人?」 ただ挨拶しただけで、何その反応。 確実に血筋だろう、その子はどうも妹っぽい。 倉松は初めて会ったというのに紹介もしてくれないから、たぶん家族だろうと推測するしかないけど。 「あとで弓愛来ると思うから」 「ん~」 すれ違いざまにそれだけの会話。 この家の常識が計り知れない。
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