80人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「でもその変わり、一緒に暮らすなんてことはしないからね」
「え?王道ですよ?」
「いくら王道でも、それはゲームの中での話だろ」
俺も納得はできないけれど、天見さんの意見には賛成だから話を進める。
これで帰ってゆっくり寝れると思うんだ。
「わかりました、そこは百歩譲ってやめましょう」
普通に考えてできないことを譲るな。
そんなことを思いつく前に、常識を身につけてほしいよ。
「では、これからデートをしてもらいます」
「まぁ、待てや、倉松」
寝てないくせになんでこんな生き生きしてんだ。
「知り合ったばっかりでそんなことできるわけないだろ」
「そうよ、それにあたし遅番だからそんな時間ない」
「桜花さん、今日は日曜ですよ?」
「世の中、土日祝日が全員休みだと思うな?」
胸倉を掴みそうな勢いで詰め寄って低い声。
「そういう事情もあるんだから、今日はお互いの連絡先を交換で、それで解散でいいだろ」
「仕方ないわね、次の休みにデートをするから」
「弓愛さん?あたしはここのみなさんと一生休みは合わないわよ?」
わかってるでしょ?という雰囲気でさらに詰め寄ってるけど、やっぱり気にしてない。
「どうとでもなります」
「……もうスキにして」
結局、ほぼ全てに関して俺と天見さんが折れるしかなくて。
連絡先を交換して、ここは解散となったけれど。
倉松と知り合ったことを恨みたくなった。
最初のコメントを投稿しよう!