simulation.3

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「ごめん、待った?」 「……イエ」 「どうした?」 「なぜ、セリフまで決められているのかがわからないだけです」 弓愛達が言っていたデートの実行日。 なぜか事前にシナリオなるものを渡されて。 受け取っただけで読んではいないけど。 「あぁ、なんかシナリオみたいなモノ持ってきてたな」 「読んだんですか?」 「1ページ目だけ」 スゴいな、あたし1ページも読んでないのに。 「俺、人生ハツだ、待った?とか聞いたのって」 「あたしも初めてですよ、言われたの」 そして、一生言われることのないセリフ。 きっと、あのシナリオ的なモノには、マンガとかでありそうなキラキラしたセリフが盛り沢山なんだろう。 「ま、そんなセリフはムシしよう」 「そうですね、うるさいでしょうから目的地には行かなきゃいけませんけど」 「キミさえよければ、普通にデートを楽しまない?」 うんざりした表情を浮かべていると、そんなことを言われて。 驚いて少し背の高いカレを見上げると、なぜだか優しく笑っている。 「こんな茶番につきあわせられるのは癪だけど、アイツらが指定した場所ってまだ行ったことがないんだよ」 そりゃ、弓愛にしたらイイトコ指定してるなとは思ったけど。 「こんなことでもないときっとこの先も行かないだろうからさ」
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