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「そうですね、あたしも一生行かなかったと思います」
「え?一生?」
なぜそこに引っかかる。
ほぼ初対面のヒトに言う義理はないんだけど。
「まぁ、いいじゃないですか。それより、コレって時間厳守なんですよね?」
移動時間、滞在時間、確か全てを決められていた。
シナリオを読んだかというメールにいっさい読んでないと返信したら、スケジュールが送られてきて。
イラっときたから削除したけど。
「あぁ…そうみたいだ」
「え、持って来たんですか?」
その手にはシナリオが握られていて。
パラパラとめくったあとに、小さく苦い表情。
「イヤ、うん…見なければよかった」
「ロクなこと書いてないことはわかりきってますよ?」
「仕事もこれくらいマジメにしてくれたらいいのに」
なんの仕事してるかは知らないけど、今度は呆れた表情になって。
男のヒトでも、コロコロ表情って変わるんだなって、違うことを考えていた。
「さて、最初の目的地、水族館に到着」
ホント、一生来るつもりなんてなかったのに。
水が怖いあたしにとったら、水族館なんて天敵以外のなんでもない。
魚達を眺めるのはスキなんだけどな。
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