simulation.3

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「そうですね、あたしも一生行かなかったと思います」 「え?一生?」 なぜそこに引っかかる。 ほぼ初対面のヒトに言う義理はないんだけど。 「まぁ、いいじゃないですか。それより、コレって時間厳守なんですよね?」 移動時間、滞在時間、確か全てを決められていた。 シナリオを読んだかというメールにいっさい読んでないと返信したら、スケジュールが送られてきて。 イラっときたから削除したけど。 「あぁ…そうみたいだ」 「え、持って来たんですか?」 その手にはシナリオが握られていて。 パラパラとめくったあとに、小さく苦い表情。 「イヤ、うん…見なければよかった」 「ロクなこと書いてないことはわかりきってますよ?」 「仕事もこれくらいマジメにしてくれたらいいのに」 なんの仕事してるかは知らないけど、今度は呆れた表情になって。 男のヒトでも、コロコロ表情って変わるんだなって、違うことを考えていた。 「さて、最初の目的地、水族館に到着」 ホント、一生来るつもりなんてなかったのに。 水が怖いあたしにとったら、水族館なんて天敵以外のなんでもない。 魚達を眺めるのはスキなんだけどな。
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