simulation.3

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なんでココなのか、今すぐ弓愛に聞きたい。 まぁどうせ、弓愛にはここしか浮かばなかったんだろうけど。 「天見さん?」 「え?」 「入らないつもり?」 できれば入りたくないところ。 でも、あたしが水が怖いなんてこと、このヒトには関係なくて。 極力、水槽に近づかないようにしよう。 「入りますよ」 笑顔が引きつりそうになる。 悟られないように先に入るけれど。 あぁ、やっぱり怖い… そこかしこ水だらけ。 当たり前だけど…当たり前なんだけど! 体が強張るのがわかって、小さく自分を抱きしめて落ち着かせる。 数秒だったと思うけど、気合を入れ直して手を下ろした瞬間。 右手が温もりに包まれた。 「──え?」 「急に繋いでごめん。ソコで見てるヤツらからの命令で」 親指でクイッとその場所を指差して。 見れば、素知らぬ顔で立っている弓愛と理人さん。 いつから…イヤ、初めから見てたのか。 誰かがどうやって恋に落ちるか、自分の目で見て確かめたいんだろう。 めんどくさいな。 「命令、ですか…」 ぜったいおもしろがってる気がする。 でも、なんかちょっとだけ安心している自分がいて。
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