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だからと言って、全部が安心できてるわけじゃない。
だって、手を繋いでくれてるヒトは、まだ出会って2回目。
あと、カレシでもなんでもないヒト。
「ここでの見学時間は1時間らしい」
「そうなんですか」
半分上の空で聞いていた。
歩き始めるから、また不安が襲ってきて。
安全だってわかってるけど、怖いモノは怖いんだよ。
「天見さんは何か見たいところある?」
「イエ、特にないです」
ホントにないからそう言ったのに、すっごいキョトンとされて。
「エンリョしなくていいんだけど、時間もあるし」
「してません、大丈夫です。真殿さんの行きたいところに行ってください」
握られてない手を左右に振って言うけれど。
納得してないような表情。
たぶん、普通の子ならイルカとかイルカとか…見たいって言うんだろう。
イルカ以外に名前が出てこなかった。
「じゃあ、見つかったら言って」
こんな決められたデートで、そこまで紳士的にならなくても。
「わかりました」
まぁ、返事はするけれど、きっと行きたいところも見たいモノも見つからない。
だって、それよりも早くここから出たいから。
でも、ここに来たかったっていう真殿さんに水を差すわけにはいかない。
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