simulation.3

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だからと言って、全部が安心できてるわけじゃない。 だって、手を繋いでくれてるヒトは、まだ出会って2回目。 あと、カレシでもなんでもないヒト。 「ここでの見学時間は1時間らしい」 「そうなんですか」 半分上の空で聞いていた。 歩き始めるから、また不安が襲ってきて。 安全だってわかってるけど、怖いモノは怖いんだよ。 「天見さんは何か見たいところある?」 「イエ、特にないです」 ホントにないからそう言ったのに、すっごいキョトンとされて。 「エンリョしなくていいんだけど、時間もあるし」 「してません、大丈夫です。真殿さんの行きたいところに行ってください」 握られてない手を左右に振って言うけれど。 納得してないような表情。 たぶん、普通の子ならイルカとかイルカとか…見たいって言うんだろう。 イルカ以外に名前が出てこなかった。 「じゃあ、見つかったら言って」 こんな決められたデートで、そこまで紳士的にならなくても。 「わかりました」 まぁ、返事はするけれど、きっと行きたいところも見たいモノも見つからない。 だって、それよりも早くここから出たいから。 でも、ここに来たかったっていう真殿さんに水を差すわけにはいかない。
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