simulation.3

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誰の返事も聞かず、そのままズルズルと引っ張られて着いた先はトイレ。 「弓愛、何?ヒトを急にこんなところに連れ込むくらいなら、最初から一緒に行動すればいいでしょ」 「イイエ、デートの邪魔はいたしません」 何言ってんだ。 今おもいっきりしてるじゃないか。 「私達は近からず遠からずで、どう恋愛に発展していくのか見ているだけですもの」 「意味わからん」 「ただ、さっき思い出したのです」 ここに連れて来られたけれど、弓愛は入る様子もなく。 他のヒトの迷惑にならない場所で、さすがに場所が場所なだけに小さい声。 「桜花が水が怖いこと」 「あぁ、言ったことあったのね」 「ハイ、高校1年の夏、プールの授業に出ない桜花を問い詰めました」 そんなことあったっけ? 全然、記憶にないや。 「それで、思い出したから引っ張ってきたの」 「そうです、チョイスを間違えました。水族館デートではなく動物園デートにすればよかったです」 うん、イヤ…動物園も水あるからね? 行ったことないのかと思わせられる口振り。 たぶん、想像止まりなんだろうね。 「あんた達が考えることがロクなことじゃないことはわかってる。だから、どこに行こうが変わりない」 「あら、桜花さん、そんなわけないじゃないですか」 トイレで威張るな。 しかも、その自信はどこからくるわけ?
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