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「あ、天見さん」
「すみません、お待たせしましたか?」
立っているのに気づかれて。
理人さんは素早く姿を消す。
バレてはいけない、みたいな感じでどこかに行ったけど、バレてるからね?
「このあとイルカショーあるみたいだけど、見てる時間はなさそうだからお土産見に行こうか」
「あ、ハイ」
再び手を繋がれついて行くしかない。
まぁ、一刻も早くここから出たいあたしにとったら、好都合だけど。
イルカショーとか見に行って、何かあったら大変だし。
一番前とかに連れて行かれたら、きっと死ぬよ。
「楽しめましたか?」
「んー、倉松達がいなければ、もうちょっと楽しめたかも」
「確かに邪魔でしたね」
助かったことも否めないけど。
唯一楽しめたのは、お土産コーナー。
もう一生来ることはないだろうから、記念に何を買おうか悩んでいると、真殿さんにクスクスと笑われる。
「すっごい真剣になるほど?」
「え、だって、ぬいぐるみか置物か悩みませんか?」
どっちかでいいんだよ。
両方買えば済む話なんだけど、そういう問題ではないんだよね。
「どっちも選ぶって選択肢は…」
「ないですね。1つでいいんです、今日の記念に」
「そっか、じゃあ、ぬいぐるみにすれば?」
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