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あー、ほら、やっぱり俺だよ。
隣に座った天見さんは若干?イヤ、結構困ったような表情。
「今…今、親から電話があって…」
切羽詰まった?って言うんだろうか?
どこか泣きそうにも見えるけど。
「来週の日曜にあるパーティに出ろって言うんですー…」
「やっぱりあるんじゃないですか」
対照的に弓愛ちゃんは目が輝いている。
「こ…」
「ん?」
「婚約者を紹介するからって…」
はぁ、金持ちは大変だな。
「ムリを承知でお願いします!彼氏のフリをしてください!」
「……はぁ!?」
涙目になっている天見さんの言葉に、店中に響く声を上げてしまった。
すぐに慌てて自分の口を押さえるけど。
意味がないことはわかってる。
「イヤ、ちょっと待て、なんで俺?」
「真殿さんしか頼めるヒトがいません!理人さんは問題外ですし」
うん、まぁ、そこはわからんでもないけど。
「他に友達とか…」
「弓愛のおかげでいません!」
え、それって言い切ること?
いったい弓愛ちゃん何したんだ?
そんなことを言われてる本人は何も気にせずジュースを飲んでいる。
倉松もそうだけど、というか全員謎だらけだな。
「お願いします!来週の日曜だけでいいんで!」
「……わかった」
そんなさ、捨てられた子犬みたいな目で見られると、断るなんてできないじゃないかよ。
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