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「……お恥ずかしいモノをお見せしました」
「イヤ、なかなか楽しかったよ」
「巻き込んでしまってごめんなさい」
ただ、申し訳なく、ホント謝ることしかできなくて。
やっぱり、ノコノコとパーティになんて来るんじゃなかった。
ロクなことにならないのはわかっていたのに。
「大丈夫、わかってるから」
「まさか婚約の話がウソだったなんて…」
「うん、見事な暴れっぷりは見てておもしろかった」
あぅ、見られたくなかったよ。
弓愛の前でも似たようなものだけど、家じゃホントに素に戻ってしまうから。
ここにいるお客様はほとんど知ってるから、またやってる程度に微笑ましく見てるだけ。
「けど、よかったんじゃないか?婚約とは関係ない話で」
「そうですね…まぁ、そんな話でも出さない限り、この家に帰らないですから」
帰りたくないんだよ、できれば。
ここにあたしの居場所はないから。
親は超過保護で兄も兄嫁も優しいヒト。
だけど、それが窮屈で息が詰まる。
だからあたしは大学入学を機に今のマンションで独り暮らしを始めた。
キライじゃないよ?
ただ、ここにいてもあたしには何もできないから。
「親の愛情ってやつか?」
「イヤ、いらないです、重すぎて」
「そうか?まっ、それでもさ、誕生日おめでとう」
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