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そう、今日はあたしの誕生日。
27にもなってこんな盛大に誕生日パーティなんて開かれたくない。
今まではなんとかごまかしてやらなくて済んでたんだけど。
「あまり祝われたくないですけどね」
苦笑いを浮かべると、ポンポンと頭をたたいてくる。
「真殿さん…」
「寒くなってきたから中に入ろう。アイツら逆に心配だし」
「そうですね」
中庭のベンチに避難というか逃げてきてたというか…
とにかくいろいろめんどくさくて外にいたんだけど。
出てくる時に見た弓愛は理人さんと食事に夢中になってた。
周りのヒトがドン引きするほどの食べっぷりで。
場違いとか、ここではこういうマナーとか、いっさい気にしてないんだろうな。
ある意味、2人がうらやましいよ。
「真殿さんも食事楽しんでください。両親のせいであまり食べれてないですよね、さっき」
「バレてたか。実はちょっと緊張しててね」
「ごめんなさい、ウソだって言えなくて」
婚約の話はウソだったとしても、あたしが誰かを家に連れて行くことが初めてのことだったために、両親に口を挟むことができなかった。
話しかけようとしても、ずっと真殿さんに夢中で。
一緒にいたハズの弓愛達は振り向いた時には、すでに遠くで何かを食べてた。
で、結局ズルズル言えないまま、今の時間になっちゃったという。
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