simulation.5

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「まぁ、それは謝らなくていいよ」 「でも、ホントにつきあってるわけじゃないのに…」 「いっそのこと、つきあっちゃおうか?」 ニコニコと笑いながらの言葉に、歩いていた足も止まる。 …ついに、2人に振り回されて毒牙にかかってしまったんだろうか。 理人さんは知らないけど、弓愛はほぼ毎日連絡をしてくる。 早くスキになれとか、早くつきあえとか。 まぁ、そんな連絡、一方的に切ってやるけど。 「今なら親公認だし?」 「…ホンキで言ってるんですか?」 「どっちだと思う?」 なんで聞いてくるのよ。 もちろんウソだと思いたい。 だけど、ホントにホンキなんだったら、マジメに答えなくちゃならないから。 これだから、恋愛はキライなんだよ。 自分がキズつくのは別にいい。 けど、断るっていうことは相手もキズつけるということで。 こっちは真剣に悩んでるっていうのに、真殿さんは楽しそうに笑ってるし。 なんか、ムカつく。 「…そうですね、これを機につきあってみますか?」 「え?ホンキ?」 「先に言ったのは真殿さんです」 あ、ホラ、やっぱりウソだった。 あたしの言葉にキョトンとした顔してる。 「うん、まぁ、そうだけど…」 「思ってもないことは言っちゃダメですよ。もしどこかであの2人が聞いてたらつけ上がります」
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