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ホントに聞かれてたら、なんでそうなったか根掘り葉掘り聞いてきそう。
恋愛のなんたるかってヤツを。
そんな、考えなくてもめんどくさい。
「あの2人の毒牙にかかっちゃダメですよ」
再び歩き出して言えば、真殿さんは苦笑いを浮かべる。
わかるよ?
毎日毎日おんなじこと聞いてたらうんざりするし、もういっそって思うこともないことはない。
だけど、そうしないのはなんか癪だし、言いなりになってる感じでなんかイヤだ。
「じゃあ、まぁ、今日は偽彼氏として、あと数時間がんばるよ」
「すみません、ウチの家族バカで…」
泣きたくなる。
関係ないヒトを巻き込んでしまったことに。
真殿さんは笑顔で大丈夫って言ってくれるけど。
なぜ、こんなイイヒトが売れ残り物件なんだろう。
普通にそこは首を傾げて悩むところだ。
「イヤ、いいご家族だと思うよ?」
「…そうですかね」
「他人から見ればわかることだよ」
「はぁ、そうなんですか」
生返事になってしまう、いい家族とは思えないし。
まぁ、誰しも他人の前で外面を外すわけないもの。
知らなくて当たり前。
それは自分のことだってそうだと思うし。
「とりあえず、中でいっぱい食べてくださいね。あたしは少し部屋に戻ります」
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