simulation.1

5/8

80人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
弓愛の思考についていけない。 まぁ、もともとついていく気なんかないけど。 そんな時間にお邪魔して、家族のヒト達は何も言わないのかしら。 幼なじみってそんなもの? あたしにはいないからわからない。 「じゃあ、行きましょう」 「イヤ、だからさ…」 諦めるしかないのか? 「会ったらぜったい気に入るから」 「待って、見てないんでしょ?なんで言い切れる?」 「写真はなかったけど、こと細かく詳細を聞いた」 なんだ、それ… 話聞いただけで、そのヒトの特徴とかわかんないでしょ。 なのに気に入るとか、何を持ってそう思うのか。 もう、イヤだ。 会うだけ会って、ムリですって言ってさっさと帰ろう。 「相手も待ってるから早く行こう」 「ハイハイ…」 てかさ、そのヒトもこんな朝早くに呼び出されたんだ。 …可哀想に… あたしはどっちかって言うと、慣れてる方だから。 弓愛に呼び出されること。 腕を引っ張られ、どこかへ向かうそれも…まぁ、慣れたことと言えば慣れたことなんだけどね。 とりあえず、だいたいあたしの意思はムシされる。 高校の時に初めて会った時からこう。 だからあんた友達いないんだよ。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!

80人が本棚に入れています
本棚に追加