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ほどなくして運ばれてきた料理をペロリと平らげて。
食後のコーヒーを飲んでいると気配を感じて顔を上げれば、私服姿の天見さんが。
「あれ?終わった?」
「ハイ、終わって賄いも食べてきましたよ」
残りのコーヒーをグイッと飲みほし、席を立つ。
「お疲れ、じゃあ行こうか」
「どこへ行くんですか?」
会計は先に終わらせていたからそのまま店を出て。
しかし天見さんのその言葉に足を止めた。
ノープランで誘って、しかも今の今まで何も考えていなかったよ。
ただ、一緒にどこかに行きたかったというだけで。
「どこか行きたいところある?」
「特にはないですけど…真殿さんは?」
「正直に言うと何も考えてなかったかな」
誘った本人にそんなことを言われると、普通はイヤな顔も1つもしそうなものなのに。
だけど、なぜか天見さんは楽しそう。
「映画とか言われなくてよかったです」
「なんで?キライ?」
「スキですよ?でも足元めちゃくちゃ冷えるじゃないですか、お腹痛くなっちゃうんですよね」
「あー、わからないでもない。俺は寝てしまうから映画館に行ったことはないな」
一度それで失敗したし。
できれば行きたくないところ。
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