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「真殿さんて正直ですね」
「え?そう?」
そんなことを言われたのは初めてかもしれない。
けれど、なぜか天見さんには隠さなくてもいいかなって。
「そうですよ、もしデートなら言っちゃダメだと思いますよ」
「あ、じゃあ失敗したな」
「なぜです?」
「今はデート中だから」
言えば天見さんは歩みを止める。
やっぱりデートって認識してなかったか。
それはそれで若干ヘコむんだけど。
「違った?」
「真殿さんがそう言うなら、あたしに異論はありません。なので、真殿さんの行きたいところに行きましょ」
ニコニコと言ってくれるその笑顔がカワイイ。
ちょっと待って、誰にも見せたくないんですけど。
彼氏でもないしスキでもないのに、そんなことを考えてしまう。
「…じゃあ、ちょっと行きたいところあるんだけど」
「ハイ、行きましょう」
そんなことを思ったことがバレないように一歩先を歩く。
わからないけど、テレてる気がするし。
こんなこと、今までの俺にはなかったな。
「どこへ行くんですか?」
「んー、買い物?」
行きたいところがあると言ったけれど、実際はほぼ考えてなくて。
天見さんはどこへでもついて来てくれそうな気はしたけど、敢えてそれは言わなかった。
言わなくても、なんとなく察してくれてそうな気がするし。
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