81人が本棚に入れています
本棚に追加
「今日は思う存分楽しんで。俺といて楽しめるかどうかわからないけどさ」
「何言ってるんですか、十分楽しんでますよ」
かわいそうと思ったことが吹き飛ぶくらいの笑顔。
その弾けたような笑顔がまた、心に突き刺さる感じ。
俺はいったいどうしたんだ。
天見さんは恋愛対象じゃない。
それに天見さんにもそう言われてる。
なのに、10代の頃のように、その笑顔を独り占めしたいとか考えてて。
「…そ、それならよかった」
直視できなくて前を向いていると覗き込んでくる。
「真殿さん?」
ヤバいな、デートしなければよかったかも。
天見さんが実はこんな子だったなんて、今までの弓愛ちゃんへの態度からは想像もつかなかった。
ギャップ?
これがギャップってヤツなのか?
「なんか…アイツらのドツボにハマってそう…」
「え?」
ボソッとつぶやいてしまったために聞き返される。
無意識に出ていたようだ。
不思議そうな顔をするソレも、どうしてかかわいく見えて。
あー、なんかちょっとそう思っただけなのに、まんまと罠にハマったような気がする。
「んー、やっぱりアイツら恨みたくなるよなって」
「え、今さらですか?」
なんだろう、今は何を言っても自分に不利になるようなことしか起こらない。
……まいった、この先どうしよう……
最初のコメントを投稿しよう!