simulation.6

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「今日は思う存分楽しんで。俺といて楽しめるかどうかわからないけどさ」 「何言ってるんですか、十分楽しんでますよ」 かわいそうと思ったことが吹き飛ぶくらいの笑顔。 その弾けたような笑顔がまた、心に突き刺さる感じ。 俺はいったいどうしたんだ。 天見さんは恋愛対象じゃない。 それに天見さんにもそう言われてる。 なのに、10代の頃のように、その笑顔を独り占めしたいとか考えてて。 「…そ、それならよかった」 直視できなくて前を向いていると覗き込んでくる。 「真殿さん?」 ヤバいな、デートしなければよかったかも。 天見さんが実はこんな子だったなんて、今までの弓愛ちゃんへの態度からは想像もつかなかった。 ギャップ? これがギャップってヤツなのか? 「なんか…アイツらのドツボにハマってそう…」 「え?」 ボソッとつぶやいてしまったために聞き返される。 無意識に出ていたようだ。 不思議そうな顔をするソレも、どうしてかかわいく見えて。 あー、なんかちょっとそう思っただけなのに、まんまと罠にハマったような気がする。 「んー、やっぱりアイツら恨みたくなるよなって」 「え、今さらですか?」 なんだろう、今は何を言っても自分に不利になるようなことしか起こらない。 ……まいった、この先どうしよう……
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