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「着きましたよ」
「はっや!」
「あれ?隣って言わなかったっけ?」
いつも弓愛の話なんて聞いてないからなぁ。
だって、わかんないんだもん。
弓愛、隠す気なんてさらさらない、こうだと思ったら突っ走る腐女子だから。
だからってわけじゃないけど、いっさい話合わないのよね。
「お邪魔しまーす」
挨拶をして、返事もないのにズカズカと上がり込む。
なんだろう、自分チじゃないんだからさ、常識的にエンリョってモノを身につけようよ。
他人の家くらいさ。
「あれ?ユアちゃん、さっき帰らなかった?」
間違いなくこの家の住人だろう、大学生くらいの女の子。
勝手に上がってることに驚きもせず話している。
「おはようございます、朝早くからお邪魔してすみません」
「ユアちゃんの友達ってすっごい常識人なんだね」
ただ挨拶をしただけなのに、なんでそんなに驚かれる?
「リヒトの友達っぽいヒトもすっごいエンリョしてたけど」
「あ、来てる?」
「うん、イケメンだったよ~、たぶん」
あー、うん、きっとこの子ともあたし話合わないな。
タイプが弓愛っぽいし。
まぁ、これ以上会うことはないだろうから別にいいけど。
「たぶん?」
「メガネかけてなかったから見えなかった」
「なるほど。じゃあ理人の部屋行きましょう」
「ごゆっくり~」
ゆっくりなんてしない、すぐ帰ってやる。
などと思うけれど、ソレを顔に出しはしない。
弓愛と違って、周りの反応怖いですから。
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