last simulation

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逃げなきゃ… だけど、逃げる理由も言い訳も何も見つかない。 「会いたかったんだ…」 真っ直ぐな言葉が突き刺さる。 あたしは…… 「けどなんて言うか…倉松達の呪縛?みたいなのもあって、思うツボな感じがして動けなかった」 「呪縛…」 その言葉に笑っていると重なる、唇。 「キスしていい?」 「イヤ、しました、よ?」 「ん、足りない」 ヤ…待っ… 「待って!」 とりあえず、キャパオーバーしてますから! 告白みたいな真殿さんの話に、突然のキス。 これで平然としてられるヒトがいたら見てみたい。 まだあたしの気持ちを言ってもないのに、再び近づいてきて。 その目はどこか楽しそう。 「い…イジワル…」 「――何それ、かわいすぎるんだけど」 えー、真殿さんがわかりません。 どこをどう取ったらそうなるんだろう。 今度はギュッと抱きしめてきて、もうなんか、もう! 「真殿さん!」 「ん?」 「あたしの気持ちはムシですか?」 嬉しくないわけじゃない。 誰かに好かれる大切さは知ってるつもりだよ。 だけど、まるっとムシされて流されるままって言うのは違う。 「あー、ごめん、倉松達から解放されたと思うと、自分を止められなかった」 「イエ、それはわかります。あたしだって、ゲームみたいなこともう終わったんだと思うと気がラクになりましたし」
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