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「スキだよ……桜花」
「……あたしも、スキです……」
大人だからって、流されるままはイヤ。
きちんと言葉にして、ちゃんと確かめあいたい。
それは何歳になろうと、関係ないと思うから。
気持ちが通じてからするキスは、さっきのとはまた違う。
嬉しいという気持ちが胸の奥から溢れて。
「あ、コーヒー冷めちゃいましたね」
でもこれ以上は恥ずかしいから少し離れる。
それがわかったのか真殿さんは軽いキスをして立ち上がった。
「淹れ直すよ」
「せっかく淹れたんですから温めたらいいです」
「桜花がそれでいいなら」
「いい、です…」
今気づいたけど、えっといつから名前で呼ばれてる?
今日会った時はまだ呼んでなかった気がするんだけど。
まぁ、そんなことどうでもいっか。
「ハイ、お待たせ」
「ありがとうございます」
甘い香りのするコーヒーを一口飲めば、まるでわかってたかのようなちょうどいい甘さ。
「何その笑顔、俺の理性吹っ飛ぶよ?」
知らず知らずのうちに笑顔になっていたらしく、そんなことを言われるけど。
イヤイヤ、そんなの知らないから。
「大丈夫、今日は何もしない」
今日は?って聞き返しそうになったけど、意味はわかるからやめた。
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