81人が本棚に入れています
本棚に追加
「俺と出会ってくれてありがとう。桜花に、出会えてよかった」
「あたしも、ありがとう」
もう一度キスをしようとすると鳴るスマホ。
「…ごめんなさい」
この着信音はただ1人。
『桜花、うまくいったようで』
無言で出れば、見てたような言い回しの弓愛。
「……は?」
『惚けてもムダ』
「あんた、模擬挙式は」
そう聞いた時、今度は玄関のチャイムが鳴る。
どこかイヤそうな顔をして真殿さんが立ち上がって。
というか今、通話の向こうからも聞こえたような気が?
「──はぁ!?」
え、何?
「こんにちはー、隣に越して来た者でーす」
やたら楽しそうなその声は聞き間違えようがない。
……平穏な生活って、なんだろう……
「ちょっと待て倉松、隣に越して来た?は?何言ってやがる」
わー、真殿さんパニックになってるや。
いつの間にか通話は切れていて、あたしも玄関に向かうとそこにはホンットに楽しそうな弓愛と理人さんがいて。
「これ、つまらないモノですが」
「センパイ、入れてください」
家主の許可もなく2人はズカズカと入ってくる。
まぁ、その家主がパニクったままだからなんだけど。
「真殿さん、現実ですから受け入れましょ?」
「……やっと、解放されたと思ったのに……」
最初のコメントを投稿しよう!