simulation.1

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「…ていうか、弓愛早く入れ」 「あら、桜花さんなぜまだそんなところに」 「あんたがそこから一歩も動かないからでしょ」 バカなのか、考えてないのか。 きっと両方だ。 「ささ、お入りになって」 「さも自分の部屋のように招き入れるな」 入らないことには何も始まらないから入るけど。 中に入ればテレビの前で寝ているヒトと、その横に座って眠そうな男のヒト。 眠そうなのはやっぱり朝早いから、だよね? 「あ、どーも、初めまして」 「はじめま…」 「理人、起きろ」 ヒトが挨拶してるのにさえぎるな。 しかもなんか鳩尾に蹴り入れてない? 「弓愛さん、それはやりすぎじゃ…」 「あー、鍛えてるからこのくらい痛くもなんともないわ」 偏見かもしれないけど、ゲーオタって弱そうなんだけど。 だってカーテン閉め切ってゲームしてるんでしょ? はっきり言って軟弱そう。 「キミも変なことに巻き込まれた感じ?」 「巻き込まれたというか、今逃げ道を探しているところです」 完全に巻き込まれる前に逃げなくては。 弓愛が幼なじみに気を取られてる今のうちに。 「すみません、帰って寝直すのであたしはこれで」
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