6人が本棚に入れています
本棚に追加
参ったな、衣装のままなのに。
「カノン」
爆睡だし。
俺はカノンの側に腰掛けた。
オフショルダーの衣装は、新曲のイメージからデザインされたもの。
首筋からデコルテが露になっている。
「……」
白くて綺麗で、美味しそう。
美味しそうではない。本当に美味なんだ、彼女は。
彼女の血は。
その味を思い出すと、目眩がする程に。
だって俺は、人間じゃないから。
気が付けば、俺の手はカノンの首筋に触れていた。
指先で柔肌をなぞれば、その温かさは、赤い血流に直結する。
ああ……噛み付いて、飲み干したい。
一滴残らず。
そうすれば俺の側で、彼女は永遠の美を手に入れられる。
俺はゆっくり身を屈めて、唇を彼女の首筋に寄せた。
最初のコメントを投稿しよう!