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華咲宮、九華宮、二つの栄華よりも別格の宮、それが綺羅宮。王の正妃の宮である。
九人の愛妃より先に王の寵愛を一身に受ける正妃。忘れてはならぬ正妃のお子は国を継ぐもの。その継ぐものが生まれぬ時に、落華宮が開宮するのだ。王の血を継ぐために。
落華宮は開宮した。そうである、正妃に継ぐものが宿らなかったため。
子を成さぬとて綺羅宮は別格の宮。王が足しげく通うのは綺羅宮である。九人成してしまえば落華宮は、その名のように華の時は終わり、九人の王子の母と、姫の母以外の女人は落ちてしまう。
イグナシアスの正妃の痛みは落華宮で九人が成される時まで。正妃は王を他の女人に送るという身を切るような痛みを受け続ける。その正妃の痛みの代償が落華宮の非道な待遇である。
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