119人が本棚に入れています
本棚に追加
セイランを抱き抱え、シーバスは湯場を出る。上気し火照ったセイランの色づいた顔を胸に隠すように、シーバスはセイランを抱き抱えている。セイランはシーバスのされるがままだ。
リビングに戻る。そこで、シーバスは異変に気づいた。小屋を修理している者がいないのだ。暖炉の前にセイランを座らせて、小屋の扉を開けた。
泉のほとりに、大きめなテントが二棟出現していた。四の王子がシーバスに気づく。
「二人は小屋に、その他はテントに決まった。異議は受け付けない。……それと、湯場の声響くから」
四の王子がニヤリと笑う。シーバスは大きく目を開いて、『しまった』と呟くと顔を手で覆った。
「イグナシアスに行くまでは頑張って抑制しろよ」
「兄さん、うるさい」
シーバスは踵を返し、小屋に戻る。セイランをあまり一人にさせたくない。だからだ。小屋の扉に手をかけて、振り向いた。皆がシーバスを見ている。
「もう休む。朝まで二人だけで過ごしたい。小屋には来るな」
耳を赤くしたシーバスを、皆が生暖かく見つめていた。むず痒さを感じ、シーバスはそそくさと小屋に入ったのだった。

最初のコメントを投稿しよう!