104人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
「うん、うん、なんですか?」
カシタからの相談なんて、『夕餉でアレが出るなら、私にちょうだい』とか『新しい着物の柄はどうしよう』とか、大抵は些細なことで、二言目で結論がでる。
軽い気持ちで受けて立つ。
それが……
「私…………なんか、恋人?が出来ちゃったみたいなの。」
おずおずと出てきた言葉がコレだ。
「………は?」
柚同様に、山崎も目を見開いた。
「ちょ、ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!いや、待って!待ってて!!え、待たないで!! は?待って」
恋人???
柚が小刻みに震えながら両手を胸元でヒラヒラ振る。
「…なによ。待つわよ。待たないでとか言われても待つわよ。なによ。」
ちょっと口を尖らせてカシタが肩をすくめた。
「あー、えー、あのー、大変聞きにくいのですが、その、夢、ではなくて?」
「なんで、あんたに夢で恋人ができた報告しなきゃならないのよ。夢でなら、私は既にモテモテでs「あー、わかった。夢じゃないのね」
一気に真顔に戻った柚に遮られ、カシタの口がさらに尖る。
「なによ、もう」
小さな声で反抗するも、訪れる静寂。
山崎は口を閉ざし、柚はとにかく今の発言を脳内に送り、処理してからもう一度カシタを見つめると
「で?相談とは?」
ようやく本題に向き合う為に姿勢を正した。
まず、相談だったはず。
とりあえず聞いてみないと答えられない。
同じ釜の飯を食べてる仲なんだから、ここはちゃんと聞いてあげないと!
キリッと目に力を込める。
すると、モジモジしながら、カシタが呟いた。
「あー、あのね、ちょっと言いにくいんだけどね……実は、その、あんまり覚えてなくて…」
「……………………は?叩くよ?」
瞬時に柚の目が半分になった。
最初のコメントを投稿しよう!