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「うん、うん、なんですか?」 カシタからの相談なんて、『夕餉でアレが出るなら、私にちょうだい』とか『新しい着物の柄はどうしよう』とか、大抵は些細なことで、二言目で結論がでる。 軽い気持ちで受けて立つ。 それが…… 「私…………なんか、恋人?が出来ちゃったみたいなの。」 おずおずと出てきた言葉がコレだ。 「………は?」 柚同様に、山崎も目を見開いた。 「ちょ、ちょっと待ってちょっと待ってちょっと待って!!いや、待って!待ってて!!え、待たないで!! は?待って」 恋人??? 柚が小刻みに震えながら両手を胸元でヒラヒラ振る。 「…なによ。待つわよ。待たないでとか言われても待つわよ。なによ。」 ちょっと口を尖らせてカシタが肩をすくめた。 「あー、えー、あのー、大変聞きにくいのですが、その、夢、ではなくて?」 「なんで、あんたに夢で恋人ができた報告しなきゃならないのよ。夢でなら、私は既にモテモテでs「あー、わかった。夢じゃないのね」 一気に真顔に戻った柚に遮られ、カシタの口がさらに尖る。 「なによ、もう」 小さな声で反抗するも、訪れる静寂。 山崎は口を閉ざし、柚はとにかく今の発言を脳内に送り、処理してからもう一度カシタを見つめると 「で?相談とは?」 ようやく本題に向き合う為に姿勢を正した。 まず、相談だったはず。 とりあえず聞いてみないと答えられない。 同じ釜の飯を食べてる仲なんだから、ここはちゃんと聞いてあげないと! キリッと目に力を込める。 すると、モジモジしながら、カシタが呟いた。 「あー、あのね、ちょっと言いにくいんだけどね……実は、その、あんまり覚えてなくて…」 「……………………は?叩くよ?」 瞬時に柚の目が半分になった。
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