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咲人さんが卒業して半年、俺の日常は相変わらずのんびりと過ぎて行ってる。
働き始めた咲人さんは卒業と同時に一人暮らしを始めて、俺ももう何度もお邪魔してる。
何度お邪魔しても部屋に入る時は緊張して暫くは背筋が伸びちゃうんだけど、それを見て咲人さんが笑うから、そこで俺の緊張は解ける。
咲人さんの居ない高校生活は正直言ってつまらないし寂しい。
出会う前に戻っただけなんだけど、一度知ってしまったら知らなかった頃には戻れないって言うか、まぁ物足りない感じを抱えつつ、それでも週に何回かは会えるからそれを楽しみに生活してます。
で、俺が今どこで何をしているかと言うと、咲人さんちでご飯作ってます。
しかも、この部屋の主である咲人さんはまだ帰ってきてないのに。
土曜の夜は俺が咲人さんの部屋に来て夕ご飯を作って一緒に食べるっていうのが恒例になっていて、まるで通い妻みたいだなって咲人さんの前で口走ってしまって赤面してからは一度も口にしていない。
その時の咲人さんの顔も、今思い出しても赤面もので。
だって、一瞬ポカンとしてわざとらしく顔を逸らして咳払いとかするから。
その首の辺りがほんのり赤くなっててそれが非常にやばかった。
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