1.いきなり鬼

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僕は自分のコーヒーをカップに入れて綾瀬の前に座った。 お昼休みはあと10分くらい。 片付けも考えるとのんびりコーヒータイムってわけにはいかないけど、コーヒーのいい香りにゆったりとした気分になる。 綾瀬は僕の作ったクッキーを頬張っている。 ふふふ、さっきの不満そうな表情は消えて嬉しそうな顔になったな、良かった。ナッツたっぷりにしたし、きっと気に入ってくれたよね。 「綾瀬、どう?」 「うん、美味しいよ。ナッツがいっぱいで嬉しい。これ、買ってきたの?」 「違うよ。昨日の夜、僕が作ったんだよ」 「へぇ~、そうなんだ~。大ちゃんすごいね!」 綾瀬はビックリした顔で、でも目をキラキラさせてる。 「綾瀬が気に入ってくれたなら僕は嬉しいよ。作った甲斐があるってもんだ」 「うん、気に入ったよ。また作ってね」 って、また首を右に傾けながら横目で僕を見上げてくる。 ああ、その顔! その顔で頼まれたら、もう、僕は何でも言うこと聞いちゃいそうだ。 「うん、いつでも」 僕はニッコリ微笑んだ。
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