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僕は急いで痴漢ヤローを追いかけようかとも思ったけど、それよりも触られてた子のことが気になって地下鉄から降りるのはやめた。
あのヤロー、ちょうど駅に着いて命拾いしたな。悪運が強い痴漢ヤローだ。今度会ったら絶対取っ捕まえて警察に突き出してやるからな!
僕は痴漢ヤローにムカつきながら、そして痴漢ヤローを野放しにしてしまったことに少し罪悪感を持ちながら、でもその子の前に立ち、その子だけに聞こえる小さな声で「大丈夫?」って聞いた。「あいつ逃げて行っちゃったけど」
その子は力なく首を横にフルフルと振った。
それから僕を見て、小さな声だったけど「あの…ありがと」って言ったんだ。
僕はその声を聞いてビックリした。
だって痴漢されてたし、可愛いし、てっきり女の子だと思ってたのに、その子の声は男の声だったんだから。
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