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「何があったの?また何かされちゃった?」
僕が聞くと、森野君は首を横に振りながら
「ううん、されてない…されてないけど…」
何もされてないなら良かったけど
「けど?」
「…この前の、あいつが、いた…」
そう言って森野君は視線を僕の後方に向けた。僕は自分の肩越しに後ろを確認した。なるほど、あいつだ。取っ捕まえてやりたいけど、現行犯じゃないし、森野君のことも心配だし…。仕方がない。
僕は森野君に向き直り言った。
「わかった。森野君は僕の陰に隠れててね」
僕は森野君を守る。そう決めて僕は少しだけ森野君に近づいた。
そしたら森野君が一瞬ビクンとしたから僕は慌てて元の位置に戻りながら
「あ、ごめん。ビックリさせちゃった?もうちょっと近い方がしっかり隠れられるかと思ったんだけど、森野君が嫌ならここでいいかな」
僕が言うと、森野君も慌ててまた首を横に振りながら、僕の制服のシャツを遠慮がちに掴んだ。
「ち、違うんだ。ごめん。ちょっとビックリしただけ。嫌じゃないからもっとこっち来て」
「そう?」
「うん。倉田君は平気だから」
「そっか」
僕はちょっと嬉しくなって、ふふふと笑みが溢れた。
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