1.いきなり鬼

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僕はコーヒーを淹れながら昨日のことを思い出していた。 そう、事の起こりは昨日の帰り道。綾瀬が言い出したんだ。 「ねぇ、大ちゃん。僕ね、コーヒーが飲みたいな」 「ん?どこか寄ってく?」 「ううん、今じゃなくてね、学校でお弁当食べた後に飲みたいの」 「じゃあ、明日は学校に行く前にコンビニで缶コーヒーでも買ってくか」 「僕、缶コーヒーは好きじゃないんだよね」 「そうだね。でもお昼まで鞄に入れておくなら缶コーヒーがいいいかなって思ったんだけど」 「缶コーヒーもペットボトルも紙パックも嫌。インスタントも嫌。ドリップして? 」 って言いながら、可愛らしい顔をコテンと傾けて僕の顔を横目で見上げてきたんだ。 はぁ~~ コーヒーが落ちるのを待ちながら思わずため息を吐いた。
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