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ある夜、山の中腹にあるトンネルを通って帰路につく男性がいた。
彼は遅くまで仕事をしていたため、帰り道は真っ暗で、車の通りも無く、周囲は何も見えない状態だった。
トンネルの中に入ると、彼は不気味な感覚に襲われる。
どこからか冷たい風が吹き込んでくるような気がし、時折何かがそっとハンドルを握る手に触れてくるような感覚に襲われた。
男性は不安を感じながらも、車を進めていくと、突然、前方に影が現れた。それは、人影のように見えた。
男性は驚いてブレーキをかけ、車を止めて前方を確認したが、影は消えてしまった。
不気味な感覚はより強くなり、男性は再びアクセルを踏む。
しかし車は動いてくれず、トンネルの中で立ち往生してしまった。
そんな中、男性のスマホが鳴り出した。番号は表示されていなかったが、男性は何かしらの手がかりを求め、電話に出た。
「もしもし?」と男性が声をかけると、向こうからはひどく歪んだ声が聞こえた。
「ここだよ…」と…
男性は心臓が止まるかと思った。
それは自分の声だったのだ。
自分が自分を呼ぶ声。
男性はビクビクと身をすくめながら、その場に固まってしまった。
そして、再び前方に人影が現れる。
それは、男性自身の姿だった。
自分の目の前で無表情の自分がこっちを見ていた…。
その後、男性が乗っていた車が発見された。
しかしそこに男性の姿はなかった…。
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