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その女性はぎょろっと目を見開き、雲雀を睨みつける。
「森山由紀か?」
雲雀は女性に向かって問いかける。
「私の…浩太ちゃん…。返して…。私のぉぉお…」
最後の方は声にならない断末魔のようだった。
「どうやら正解らしいな…。…っ!?」
突然、雲雀は不意に右足に引っ張られるような感覚を覚えた。
見ると男の子が必死にしがみついていた。
「助けて…。助けて…」
そう繰り返し呟きながら…
「安心しろ。必ず助けてやる…」
雲雀は男の子の頭を優しく撫でる。
「私の浩ちゃん…。私の…。離せ…。私のっ!離せっ!」
女性は男の子の様子を見るや否や、雲雀に向かい掴みかかってきた。
「チッ…!話は出来そうにないか…」
雲雀は男の子を庇いながらも横に転がり避ける。
そして着ていた上着の右ポケットをまさぐった。
「全く…優秀だね…」
皮肉たっぷりに言うと、雲雀はポケットから女性にある物を投げつける。
すると女性は、急に苦しみだしその場へと倒れこんだ。
「照天寺特製のお清めの塩だ」
女性は苦しみ悶えながらも雲雀の事を睨みつけていた。
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