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土井と雲雀がアパートの部屋へと踏み込み、横山は外の廊下の奥で電話している。
残された斎藤と奈津は玄関で待っていた。
まだ異臭が立ち込め、油断すれば吐きそうになる。
奈津はハンカチで口を覆っていた
「カズさん…。これって…」
「うん…。多分浩太くんのお母さんは亡くなっているだろうね…」
「やっぱり…」
「やっぱり?」
奈津の意外な返答に斎藤は思わず聞き返す。
「そっか。カズさんにはまだ話してなかったですね。実は浩太くん…」
奈津は斎藤に今までの一部始終を伝えた。
「なるほど…。つまり浩太くんはお母さんの呪縛から逃れるために助けを求めていたってことか…」
「多分そうだと思います。でも私…。助けられなくて…」
思わず涙ぐむ奈津。
「大丈夫。ここまでくれば安心さ。あとはキョウさんとどっさんに任せよう」
そんな話をしていると、部屋の奥から土井が姿を見せた。
「おう!お前らか!大家はどこだ?」
「大家ならあそこに。それよりどっさん。状況は?」
「あぁ。白骨化した遺体があったよ。恐らく近藤由紀に間違いないだろう」
「そうですか…」
「いいか?中に入るんじゃねーぞ?現場を荒らしたくはないからな。それと遺体はあんまり見ない方がいい。脳裏に焼き付いて一生残る可能性もあるからな!」
そういうと土井は大家の元に行って状況の説明に入った。
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