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安藤奈津は東京の大学に通う2期生だ。
バイトにサークル。そして…
「奈津~!今日の合コンどうする?」
友達もそれなりに多く、やる事は山ほどあり毎日がとても充実していた。
しかしある日を境にし、奈津の人生は大きく変わってしまったのだった。
それはGWが明け、梅雨入りしたというニュースが入ってきた頃だった。
奈津はいつものように大学からバイト先に向かっていた。
電車を乗り継ぎ、最寄りの駅の改札を抜け、交差点の信号待ちをしていた時、奈津の目の前を5歳くらいの男の子が、まだ赤信号の横断歩道の方へふらふらと歩いている。
しかしなぜか周りの人は男の子の存在をまるで見えていないかの様に、完璧に無視をしていたのだった。
誰にも声をかけられないまま、ふらふらと横断歩道の方に歩いていく男の子。
次から次へと目の前を飛び交う車。
男の子が横断歩道を渡り始めた瞬間。
「危ない!」
奈津は思わず叫んだ。
周りの人の視線が一気にこっちに集まる。
(何だ?)
言わずとしても周りの心の声が聞こえくる。
(そんなことより男の子!)
奈津は交差点に並んでいる集団の先頭に立ち、辺りを見渡します。
がそこには男の子の姿は無く、ただただ車がいきかっているだけだった 。
男の子はその場から姿を消した…。
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