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「本当にいたんですよ!」
バイト先の先輩に話してみても、そんなバカなと笑われるだけで誰も信用してくれない。
そんな中、一人の先輩が神妙な顔をして言ってきた。
「奈っちゃん…。それって見てはいけないモノを視たんじゃない?」
「視てはいけないモノ?」
「そう・・・。この世のモノではないモノ。何年か前、あの交差点で男の子が事故で死んだっていう噂。聞いたことあるわよ」
それを聞いた瞬間。奈津はゾクッとする寒気に襲われた。
「なーんてね。冗談よ。冗談。さっ!仕事に戻る戻る!これから書き入れ時なんだから!」
何だ冗談か…。奈津はホッとし、自分の持ち場に戻ろうとした時だった。
振り向き様にふと子供の姿が視線に入ったように感じたのだった。
奈津は驚き思わず辺りを見渡した。
…が子供などいるはずも無く、一瞬だったので気のせいだと思った。
いや思い込みたかっただけなのかもしれない…。
奈津のバイト先は居酒屋のチェーン店だった。
夕方から夜にかけて平日でも忙しいで客の回転もそれなりにあり、今日も注文が殺到していた。
奈津はホールスタッフとしてオーダーを取り、料理を運び、と忙しく働いてた。
「ありがとう御座いました~」
お客が帰ったテーブルを片付けていた時、ふと背後に視線を感じたのだった。
「!!!」
奈津はすぐ振り返る。
しかし、誰もいない…。
首をかしげながらも仕事をこなしていると、またもや背後に妙な感覚に襲われたのだった。
口ではうまく説明出来ないのだが、何かいる。
そう感じた…。
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