479人が本棚に入れています
本棚に追加
「君のじゃないの? じゃあ、誰のボール?」
「外で遊んでいた “ 誰か ” 。いつも、庭の中に入ったボールを取りには来ないんだ」
屈み込んで門の下から
手でそれを通りに押し出している。
龍之介は
その様子を黙って見ていたが
「ひょっとして、今までもずっと、そうやってボールを外に出してあげていたの?」
一つずつ外に出しながら
「まあね。…本当に世話が焼ける。無駄遣いさせない為だよ」
圭一郎は
しゃがんでいた姿勢から
立ち上がった。「お金は無限にあるものじゃないのにね…」
最初のコメントを投稿しよう!