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■記念日の翌朝
翌朝、健太が目を覚ますと、エリィの姿は消えていた。
ダイニングテーブルの上に、朝食は用意されていなかったが、ガラスの花瓶には、名も知らぬ赤い花束が活けられていた。
健太はケータイのアドレス帳から、Good Matchの電話番号を探した。4年前にエリィを紹介してもらった奇妙なエージェントである。
コールすると
『お掛けになった電話番号は現在使われておりません』
予想通りのメッセージが、冷たく流れた。
(何が、Good Match、良縁だよ。笑っちゃうぜ)
窓から外を見ると、ロンドンの曇り空は、バラ色ではなく、やはりグレーだった。
FIN
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