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「なんで寄りによってアーキルなのっ!?」
セナがハラハラしながらその状況を見つめていた。
確かにそうだと思う。
しかも体格差がありすぎるし……
愛美も心配そうにその光景を見守る。
「アーキルやっぱりザイード様を怒らせてるのよ何かでっ…じゃなきゃあり得ないはこんな展開っ」
セナは疑り深くそのことを繰り返す。
アーキルは涙目になって訴え続けていた。
「そんなぁっ…」
必死の抵抗も虚しく小柄なアーキルはザイードの目の前に立たされた。
「勝てば褒美をくれてやる──」
「勝てないですよぉ…っ」
「男が勝負する前から諦めるなっ」
「そんなこと言われてもっ…」
アーキルはただの使用人でラクダの世話係だ──
べつに稽古など付ける必要もない。そんなアーキルに面白がって賭け金を預ける者達も出てきていた。
「アーキルっ!褒美だってよっ童貞捨てるチャンスだぜっ──…」
そんなヤジにアーキルは真っ赤になった。
「ほう、お前はまだ童貞か……」
ザイードは赤い顔のアーキルをニヤニヤと眺める。
「いいだろう、お前の好みの女を世話してやる」
そう言ったザイードの言葉のあとに観戦者達からは冷やかしの野次が跳んでいた。
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