6章 暴君主

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 こうなったら仕方ない。 勝てるとは思っていなくてもやるしかない…… ちょろっと向かっていって投げられればすぐ終わりになる。 アーキルが考えていると 「手抜きをしようなんて思うなよ? ガッツリ本気でかかってこいっ……そのくらいの気持ちが見えなきゃ俺に対して失礼だと思え──」 即座に読まれた胸の内。アーキルは諦めるしかなかった。 審判の合図で二人の取っ組み合いが始まる。 「白線から出たら負けだ!それ以外なら何べん転がされても負けにはしてやらん」 ザイードの言葉にアーキルは目を見開いた。 どう足掻いても簡単に負けさせてはくれそうもない。 覚悟を決めて、アーキルはザイードと取っ組み合う。 身長差があるせいか、アーキルはザイードの胸に飛び込みしがみつくような構えになっていた。 まるで子供と大人の闘いだ。 案の定、アーキルの身体は軽くザイードに転がされる。そしてザイードは白線からアーキルが出ないようにアーキルを容易く投げ飛ばす。 格闘技というよりは払い投げの稽古だ。 数回投げ飛ばされたアーキルは、何時しかガッツリザイードの腰にしがみつくようになっていた。 「お、中々腰に力が入ってきたじゃないか」 ザイードは本気で取り掛かってきたアーキルに楽しそうに応じる。
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