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かりんはしばらく走り続けると、足を緩やかに止めて後ろを振り返りましす。後ろには誰もがいません。
「お母さんはかりんがすぐ戻ってくると思ってるんだ。絶対にお母さんが謝るまで帰らないんだから!」
「おう、かりんちゃん。どうしたんだい、一人で」
かりんがトボトボと歩いていると、通りがかった八百屋のおじさんが声をかけてきました。
「今日はお母さんと一緒じゃないのかい?」
「お母さんなんか知らないもん!」
「喧嘩でもしたのかい、おじさんで良ければ話を聞くぞ」
かりんはおじさんに、どれだけお母さんが意地悪でケチんぼなのかを話しました。
「かりんが嫌いなピーマンを食べさせるの。ね、お母さんってば、酷いでしょ!」
「そうだなあ……、確かに嫌いなものを食べるのは辛いなあ」
「そうでしょ!」
「よし、おじさんがいいことを教えてあげよう。お店の奥へおいで」
おじさんに手招きされた方へ、かりんは入っていきます。
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