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出会いの冬から半年ほどの月日が過ぎ、夏生まれの茅萱は十三歳になっていた。
その春中学に上がった茅萱は、陸上部に入部した。養父が昔、高跳びをやっていたと聞き、自分もやってみたくなったのだ。
新しいことを始めるのは楽しかったし、高く跳べるようになるにつれ、違った景色が見られることがおもしろかった。
数センチ近付くだけで、空の色が変わって見えるということに、茅萱は新鮮な驚きを覚えた。
ただひとつ、困ったことがあるとすれば。
──拘束時間が増え、柊と過ごす時間が確保しづらくなったことだった。
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