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「……ん、んんっ」
指の輪で包み込み、上下に動かす。溢れ出たものを塗り付けるようにして刺激を加えながら、茅萱は柊のことを考えた。
──俺が、柊に口付けたなら。彼はそれにどう応えるのだろうか。
想像の中での柊は、茅萱のことを決して拒んだりはしない。唇を合わせ、隙間から舌を差し込むと、その侵入を喜ぶかのように舌を絡めてくる。
息苦しそうに、それでいて嬉しそうに、吐息を漏らす。
「ひい、らぎ……っ」
名前を呼ぶと、同じように名前を呼び返してくれる。その声はきっと、蜜のように甘い。
──茅萱。
「んっ、う……」
柊の声を思い出した途端、手の中で熱が弾けた。熱い飛沫が、指と下肢を汚していく。数回に分けて白濁が放出される間、茅萱は刺激に耐えるべくただただ目を閉じていた。
欲を吐き出しきると、茅萱は白く汚れた手を見つめて呆然とした。
「何で、俺……」
こうした行為が、恥ずべきことだとは思わない。男なら、普通のことだと聞いている。恥ずべきことがあるとするなら──柊を、欲の対象にしたことだ。
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