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茅萱はタオルと適当な替えの服を手に取り、部屋を出た。離れの中に作られた簡素なバスルームに入り、シャワーのカランを捻る。
「友人、なら……」
湯を全身に浴びながら、茅萱は呟く。身体に付着していた白濁は、あっという間に水の粒に洗い流されていく。
「欲しい、なんて。思わない……っ」
柊のやわらかな声も綺麗な笑顔も、あの甘い香りも──全て、自分のものにしたい。
茅萱が生まれて初めて知った独占欲は、確かに、恋の片鱗だった。
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