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「柊──そろそろ、限界?」
こくこくと彼が頷く。
「だったら、言って。もう、俺以外の相手とはしないって」
苦しげに眉根を寄せながらも、柊は茅萱の言うことに従おうとはしなかった。
「言えないなら、ずっとこのままだよ」
青く澄んだ瞳から、涙が零れ落ちていく。泣き顔でさえ美しい。
初めて柊を見たときから思っていた。この綺麗で儚げな生きものは、一体何なのだろうと。
「茅萱……茅萱……っ」
赤く濡れた唇が、自分の名前を形作るたびに。
どうしようもなく、思い知らされる。
──俺だけが、彼に恋をしているのだと。
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